ミュージック×ポスト

然るべき選択肢はいくらでもあったはず

巨大企業の責任とは
小説という体をとったカネボウグループの崩壊劇。
一つの国ともいえる巨大な企業群を操るのが、実は天皇ともいわれた一人の人間であることが、物語の中盤以降浮き彫りになる。
功罪半ばするこの天皇の負の遺産が、カネボウを崩壊させた。
負の遺産とは、莫大な借金を粉飾決算で乗り切る手法のことだ。
ごまかせばごまかすほど、雪だるま式にふくらむ借金。
歴代の社長は操り人形だ。
こんな叫びが、本書のタイトル『責任に時効なし』から聞こえる。

当事者が語るカネボウ事件
粉飾決算の責任を自社以上に担当の会計士にかぶせているように読めるのは若干いただけなかったが、当事者が率直な語り口で事件の全容を語っていて類似の事件が再発しないように、とのケーススタディとして価値が高いと感じた。

コーポレートガバナンス:粉飾に気づいた役員としての対処の悪例
汚名挽回ならず、です。
内容は粉飾に巻き込まれた一役員の間違った対応で、惨憺たるものでした。
この対応例は、将来コーポレートガバナンス・ケーススタディの悪例として教科書に載せられるかもしれません。
あとは、飛ばしのスキーム図を見たい人には読んでみると良いかもしれないという程度です。
数十年もの間続いた未曾有の粉飾に経理プロフェッショナルとして立ち会って、主人公の番匠は為すべきことをしませんでした。
告発、退職、然るべき選択肢はいくらでもあったはず。
他の当事者に発言の機会を与えない、このような形での出版には悪意に満ちた暴露本としての意味しか持たず、自己正当化に帰結しているのが残念でした。
「責任に時効なし」、この言葉をそのまま著者にお返しします。
それでも、上司に苦言を呈したというだけで、イコール「権力と戦った」、日本のサラリーマンには読んでいて胸のすく思いがするのでしょうか。
女性にもてると思いこんでいる主人公も滑稽です。
この本は当然検察もチェックしているでしょうし(02年決算の記憶がない、の部分も含めて)、読者には、暴露本というものは概ね著者に都合良く書かれていることを念頭において読むことをおすすめいたします。
責任に時効なし―小説 巨額粉飾嶋田 賢三郎
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by musicpost1 | 2011-08-02 13:53 | 読書
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